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2013年6月18日火曜日

二つの勇気

 百パーセント勇気、と三歳の息子が部屋中を跳ね回りながら歌っている。メロディはまだおぼつかないが、歌詞はハッキリ聞き取れる。ああ、あの曲か。しかしまたどうして? もう二十年も前のヒット曲。どうやら幼稚園で歌っているらしい。
 カバーも出ていることは知っていたけど、テレビアニメの主題歌として今なお現役なことまでは、さすがに子を持つまで知らなかった。仕事柄か単なる趣味か、適度にカオスな私のiPodには、まさかこんな日が来ることを予見したわけではあるまいが、件の楽曲がオリジナルバージョンでバッチリ入っている。一度聴かせたら案の定、毎日のようにiPodを振りかざして「ゆうきひゃくぱーせんときくー!」……いや、いいんですけどね。
 しかしいい曲だなあ、と息子と一緒に聴きながらしみじみする。個人的には一コーラス目のサビのラスト一行が沁みる。この歌詞を歌う子どもたちを見て、親たちはかけがえのない、輝く季節を生きる我が子をさぞ眩しく思うことだろう。
 理解しているかは怪しいものの、小さな口はかなり正確に歌詞をなぞっている。覚えやすいんだろうか。私の85歳になる祖母も気に入ってくれるかもしれない。子どもの頃、私が聴いていた曲をたまたま耳にした、普段は流行歌なんて聴かない祖母が、「いい歌やねえ」とつぶやくのを聞いて驚いたことがある。安全地帯の『ゆびきり』という曲だった。「ゆうきひゃくぱーせんと」と同じ方の作詞である。
 誰もがわかる言葉で、多くの人の心に響く。こどもの歌に携わるようになって、その価値をよりいっそう感じるようになった。歌はコミュニケーション、わかりやすければ伝わる力も強い。個人的にはカオスな歌詞も捨て難い、いやむしろ好きですが。カオス……どんな歌詞だ(笑)。
 さて、タイトルに挙げた「二つの勇気」。もうひとつは、こどもの歌に詳しい方ならお気づきかもしれない、アンパンマンの『勇気りんりん』。我が家の三歳児も連日DVDにかじりついている。アンパンマンという作品の、ある種の凄まじさについてもいつか考えてみたいと思うのだが、ひとまず勇気の鈴をりんりんと鳴らしながら、臆することなく歩んでいってほしいと母としては願うのみである。というか、どちらの曲も毎日のように耳にしていると、理解も怪しい三歳児よりもむしろ、傍らにいる親が勇気づけられているような気がしないでもない。

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