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2013年6月24日月曜日

手作りが残すもの

 元来が少々ハマり性なところはあって、これまでもスキューバダイビングにハマってパラオまで潜りにいったり、『モンスターハンター』にハマって何千時間(!)と費やしたりした前科はあるのだが、目下ハマっているのは「子どもの服作り」。
 気づけばこの春だけで、パンツ(ズボン)4本、Tシャツ2枚。あと自分のブラウスとワンピース、自分と息子の帽子が1個ずつ……。型紙と生地が常に数個分はスタンバイしていて、少しでも時間があると憑かれたように布地に向かってしまう。

 入園に先立って「通園バッグと上履き入れを[手作りで]用意してください」という幼稚園は多いらしく、シーズンになると手芸用品店が大混雑、店頭には「オーダー承ります」のチラシが……といった光景が展開していること自体、自分が当事者となって初めて知ったのだが、この「通園セット作り」をきっかけに手芸にハマるママさんは結構いるらしい。
 今や生地はネットショップがとにかく充実していることとか、型紙と作り方解説書だけを販売する「型紙ネットショップ」という世界があることも、ハマってから初めて知った。後者はアパレルでパタンナーをしていた女性が出産退社後、技術を生かして通販サイトを開設、といったケースも多いようだ。
 初心者でもOKな作り方、家庭用ミシンで短時間でできる、丈夫で形崩れしにくい等々、ママさんたちの心情に配慮した作品が魅力だ。私がよく利用させてもらっているのはアンの木パターンさんとパターンレーベルさん。どちらのオーナーも現役ママさんだ。モデルを務めるお子さんたちが愛らしい。

 「手作りが母親の愛情です」という台詞は今も威力があるが、私はこうした言葉に違和感をもつタチだ。ミシンのない家はもう珍しくないし、洋裁なんて中学の家庭科以来、というママさんは少なくない。育児や仕事に追われて余裕のない人、単純に洋裁なんてしたくない人もいるだろう。代わりに作ってくれる祖母が身近にいる人ばかりでもない。
 通園バッグの「オーダー」の隆盛は何を意味しているのだろう。近隣の幼稚園の規定通りに作られたセットが袋入りで売られているのも見た。時代に合わなくなりつつある、手作りの半強制によって生まれる光景。やはりどこか、いびつに見える。

 息子は「これ、ぼくのカバン? ママが作ったの?」と大喜びだった。その様子を見ていると、品物そのものより「母親が自分のために手をかけてくれたこと」自体が嬉しいのだな、と気づく。
 モノの有り難みはそのうち薄れてしまう。自分に向けられた愛情こそが心の奥に残っていく、そういう意味なのかもしれない。大切なのは「手作りであること」それ自体ではないのだなと、移り気な息子が気づかせてくれる。

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