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2013年7月11日木曜日

箱の中の住人

 少し前から三浦大知くんという歌い手さんのファンで、家にCD やDVD が転がっていたのだが、まさか二歳そこそこで息子が真似して歌い始めるとは思わなくて、けっこう唖然としている母である。
 和製マイケルと称される彼だが、当然ながら子ども向けの音楽ではない。どのあたりが息子の琴線に触れたんだろう? そういえばマイケルも、男の子たちがみんな股間を押さえて真似してたっけなー。

 とはいえ、言葉もおぼつかない頃から「あどけないしぐさでベイベ〜♪」などと歌われても、いやベイベーはアンタやがな、と心の中でツッコミを入れつつ「よく覚えてるねえ……」と思わず感嘆してしまう。レパートリーは現時点で軽く10曲を超える。
 息子のお気に入りはライブの模様を収録したDVD で、鑑賞中はとにかく食い入るように見ている。歌手が椅子に座れば自分もテレビの前に椅子を持ってきて座り、ピアノを弾けば自分もピアノ(のオモチャ)を持ち出して叩き始める。ブロックで階段状のステージを作り、人形で再現していたこともある。
 歌だけでなく曲間のMC まで覚えている。しかし言葉の理解は未熟なので、しばしば「空耳アワー状態」になるのが面白い。例えばライブ終盤、「これがラストチューン!」と歌手がキメ台詞を叫ぶと、息子は大喜びで自分も叫ぶ。「おれ、ピカチュウ!」……なぜピカチュウ。チューしか合っとらんがな。
 「おっさんテルミー、テルミー♪」と腰をフリフリ歌う姿は大変に可愛いが、もはや原曲をとどめていない(ちなみに英語)。今は成長して「おれピカチュウ!」は言わなくなった。ちょっと残念である。

 マイク代わりにいろんなものを握りしめて、気分はポップスター。きっと全国、いや全世界のご家庭で見られる光景だろうな、と思うと微笑ましい。
 こういう話をすると「将来が楽しみだね」と言っていただいたりするのだが、私も幼い頃は某女性アイドルグループに夢中で、テレビの前で熱心に踊っていたらしいのだが、記憶には全く残っておらず、その後も特にダンスに親しむ人生は送っていない(見るのは好きだけど)。つまり、そういうことなのだろう。とりあえず、今を楽しんでおこうと思う。

 息子と一緒に川崎へ足を運ぶのは昨年末のリリースイベントに続いて二回目だ。小さな子ども連れで無料で観られる、こういう機会は本当に有り難い。
 普段はテレビという箱の中にいる「お兄ちゃん」が目の前にいるのに、本人は興奮するでもなくじっと見つめている。現実とファンタジーの境界が曖昧な年頃だ。大音量の中、何を感じているのだろう。
 生身の人間が歌い踊る迫力を少しでも感じてほしくて、抱き上げる手に力がこもる。今日のことは記憶には残らなくても、感じた何かは残るかもしれない。私が結局は音楽の近くを歩いてきたように。

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