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2013年7月25日木曜日

産後の睡眠不足考

 珍しくストレートなタイトルにしたのは、その辛さを広く世間さまにアピールしたいがためである。というのは大げさだが、些か過小評価されている気がして、どうもお尻の据わりが悪いので書いてみる。
 「睡眠不足」の経験のない人は、おそらくいないだろう。多くの人にとって、ある意味でとても慣れ親しんだ(?)状態といえる。だから「産後のお母さんは睡眠不足で辛い」と言われても「ふーん、そうなんだ」と流してしまいがちではないだろうか。
 私は経験者の端くれとして、ここで微力ながら主張してみたい。「産後の睡眠不足」は、未経験の方が体験し得るそれとは、少しばかり違うことを。

 出産というのは一般に、数時間〜十時間以上かかる。徹夜で陣痛に耐えることも珍しくない。一睡もできないまま迎える歓喜の瞬間。これで休める、と思いきや、残念ながら多くの場合、そうはいかない。
 母子同室であれば尚更、出産直後から問答無用で赤子の世話へ突入する。ヘトヘトのフラフラで倒れそうに眠くても、おちおち寝てはいられない。
 通常、病気で体調が悪い人は「ゆっくり休んでね」と言ってもらえる。しかし産後の母親は、たとえ体調が戻らなくても、そうそう休ませてはもらえない。赤子がいつ泣くかと神経をすり減らす日々が、何ヶ月も、時に一年以上続く。いつになったら夜通し眠れるようになるのか。先が見えないのがまた苦しい。

 産後の睡眠不足が一般的な睡眠不足と最も異なるのは、眠れないのが自分の意志ではない、という点ではないだろうか。たとえば「徹夜なら平気」という人も、その徹夜は「自分の意志による徹夜」だ。「仕事のせいで寝たくても眠れない」としても、そこで「眠らない」選択をしているのは自分である。
 泣く子を無視して眠るという選択肢は存在し得ない以上、産後の睡眠に母の意志が入る余地はない。そこには我が子の命がかかっており、仕事等による睡眠不足(もちろんこれだって辛いが)とは、言ってみれば質が違うのだ。やっと寝かしつけて自分もまどろんでも、耳をつんざく泣き声に暴力的に揺り起こされる。それが日に何回何十回と続く。ほとんどパンチドランカー。過酷な「細切れ睡眠」である。
 ロクに眠った気がしないまま、朦朧と乳をやりオムツを替えて日々が過ぎる。最初の数ヶ月はほとんど記憶がない、と話すママさんもいるほどである。

 「体が辛くても休めない」「終わりが見えない」「自分の意志じゃない」そして「暴力的に起こされ続ける」。産後の睡眠不足のハードさを、少しはイメージしていただけただろうか。渦中にある方はぜひ無理をなさらず、周囲の方はいっそう労っていただければと思う。また今後、出産を迎える可能性のある方も、心の片隅に留めていただければ嬉しい。
 そしてこんなことを書いてる私は目下、睡眠不足である。ただし夜泣き故ではなく自分のせい(涙)。これを深夜に読んでくださっているアナタ、睡眠不足は万病の元、眠れる有難さを噛みしめつつ、とっとと寝ましょう。私も寝ます。おやすみなさい……。

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