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2013年7月9日火曜日

We are a family.

 学生の頃、長期の休みになるとよく海外へ短期留学に出かけた。留学といっても大したことはない、せいぜい一ヶ月ほど現地の語学学校に通う程度である。目当ては英語習得よりも異文化体験、すなわちホストファミリーとの交流だった。それが楽しくて、バイト代のほとんどをつぎ込んでいたほどだ。
 渡航先は主にアメリカとイギリスだったが、お世話になったホストファミリーの中で、日本で家族といえば一般的にイメージされる「初婚同士の両親と、その実子」のみで構成された家族というのは、見事に一組もいなかった。ものの見事に一組も。

 偶然だとは思う。どのファミリーも仲が良く、そして幸せそうだった。けれどホストマザーに何気なく「あなたのハズバンドは……」と話しかけたら「私にハズバンドはいないわ」と返されるのだから気が抜けない。じゃあ一緒に住んでいる、子どもたちが「Daddy 」と呼ぶあの男性はいったい誰!?
 別のファミリーの中学生の長女。「今日はロンドンへ私の家族に会いにいくの」。え!? いま一緒に暮らしているのはあなたの家族じゃないの? ロンドンの家族は、あなたの小さな弟にとっても家族なの? それとも……。

 とてもじゃないが短期の居候の分際で、しかも拙い英語力で聞くにはあまりに個人的な質問で、多くの場合は会話から推測するしかなかった。子連れ同士の再婚だったり、同居しているのはパートナーの実子で、週に一度だけ自分の実子が泊まりにきたり。最後にお世話になった70代のご夫婦ですら、「明日は『妻の息子』が会いに来るんだ」という夫の言葉に「ああ、やっぱり……」と思ったものだ。
 こうした環境では、家族に関する話題にはどうしても慎重になる。一緒にいるから実の両親とは限らないし、離れて暮らす家族もいるかもしれない。誰を自分の家族と認識しているか、そこにはアイデンティティの問題も絡む。家族にはいろんな形があって、それはたぶん日本でも変わらない。

 セサミストリートのポッドキャストで「Family」をテーマにした回が以前にあって、そこで流れている曲が好きだ。サビの歌詞は、こう繰り返される。

[We are a family / We love each other.]

 私たちは家族。お互いに愛し合っている。素敵な歌詞だな、と思う。ここでも番組のラスト、少女が幼子を抱いた傍らの女性を指して「彼女は私の妹のお母さん」と紹介する場面がある。「私のお母さん」は別の女性なのだ。家族にはいろんな形があって、でも確かで大事なことは、お互いに愛し合っている。

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