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2013年9月9日月曜日

抱っこ!抱っこ!抱っこ!

 前に育児雑誌で「抱っこの無間地獄」という表現を見かけ、ううむと唸ってしまったことがある。無間地獄とは「絶え間のない地獄」。物騒だが、気持ちはわかる、というママさんは多いに違いない。
 抱っこが何故、地獄なのか。想像しにくいという方のために、ここで僭越ながらワタクシが、その大変さの一端でもご紹介できればと思う。『産後の睡眠不足考』に続く「ママは大変」シリーズ第二弾。うう、あまり増やしたくないシリーズだ……。

 赤ん坊が泣く。抱き上げてあやす。揺らしたりお尻をトントンしたりで数分〜数十分、奮闘のかいあって何とか眠りにつく赤ん坊。これだけでも十分に大変なのだが、真の辛苦はこの先にある。
 何故なら、寝床へ下ろした途端、再び起きて泣き出すのが、赤ん坊という生き物だから。ときには「そろそろ下ろそうか」との思いが脳裏をよぎっただけで「ほぎゃあ!」。瞬間、背筋が凍る。また一からやり直しか、と首を垂れる、あの絶望感。
 まったく、何かセンサーでも内蔵されているのか、腕の微細な血流変化を感じ取るチカラが備わっているのか。マンガみたいな話だが、子育てにはジョーシキで測れないことが、どうやら沢山あるらしい。

 乳児の母は、泣く→抱っこしてあやす→寝る→下ろす→泣く(最初に戻る)の無間ループを生きている。まず腕や腰を痛めるし、私は指の関節がおかしくなった。赤子をあやす母の姿は傍目には麗しいが、内実は相当ハードである。
 幸い寝入っても「また泣くかも」という恐怖に囚われ、下ろすに下ろせなくなる。この「恐怖心に苛まれる」というのがまさに「地獄」と称される所以だろう。仕方ないので寝た子を抱っこしたまま仮眠したり。これは何の修業だ。ああ、子育てか(涙)。

 少し大きくなると、子は自ら抱っこをせがむようになる。当然、そこにも無間地獄がパックリ口を開けている。下ろした途端「ギャー!」。こうなると親は家事も料理もできず、トイレにすら行けない。
 混雑したバスの中で、抱っこをせがむ女の子を見かけたことがある。その状況で抱っこするのは、逆に危険だ。母親は断るが、女の子は承知しない。半泣き状態で「抱っこ、抱っこ!」。そのまま終点まで数十分。お母さん、お疲れさまでした……。

 息子は最近、ほとんど抱っこをせがまなくなった。楽になったと喜んだのも束の間、近頃は「抱っこさせろー」と息子を追いかけ回す(!)母である。
 一体で過ごした十月十日。出産で二つ身に分かれても、しばらくは抱っこで密着状態が続く。そして少しずつ、母と子の距離は離れていく。寂しいけれど、この世の摂理。さあ、気を取り直して。今日も息子を追いかける私。
 息子は大はしゃぎで抱っこされるのだが、すぐにスルリと逃げてしまう。ただ抱っこされているのは、もう退屈なのだ。この世の無間は、いつか終わるものらしい。残念だけど。

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