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2013年10月22日火曜日

つぼみが咲いたら

つぼみが咲いたら
旅に出ようと思ったのです
遠い遠いところへの旅に

私がいなくなっても
咲いたつぼみが笑っていてくれるでしょうから

人が旅立とうと思う理由
病 絶望 無気力 孤独
その多くを 私は持っていました
だから迷いはないのです

一日目
つぼみはまだ咲きません
旅には準備が必要ですが
私の旅は持たざる旅
詰めるものなどありません

二日目
つぼみはまだ咲きません
とりあえず水をたっぷりやってから
ゴロンと横になりました
なに 寝るのも旅も似たようなものです

三日目
つぼみはまだ咲きません
もしかすると
肥料が必要なのかもしれません
旅にもいくばくかの気力が必要なように

四日目
私は旅に出たいのです
こうしているのは辛いのです
なのに
つぼみはまだ咲きません

五日目
つぼみが咲いた夢を見ました
黄色い小さな花でした
そういえばどんな花が咲くのか
私は知りません

六日目
つぼみは咲いていないのに
もうひとつ新しいつぼみができました
小さな瑞々しいつぼみです

七日目
つぼみが下を向いているように見えました
まるで つぼみでいるのが
そろそろ疲れたかのように

私は焦りました
水やりは欠かしていないのに
肥料は適切なはずなのに
病気でしょうか
それとも寿命なのでしょうか

私は家を飛び出しました
家の前で車に轢かれそうになり
「バカヤロー」と叫んでから
近所の花屋へと向かいました
何かアドバイスをもらうために

「花を助けてください」
私が花屋でそう叫んだ頃
家の中では黄色い花と赤い花が
ニッコリ笑って咲いていました


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