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2014年2月12日水曜日

イスの物語

 こそだて界でイスといえば、バンボストッケが二大ブランドだろうか。どちらも大層人気が高く、そしてお値段もお高めなのだが、赤ちゃんがちょこん、と座っている様子は卒倒モノの可愛さである。
 ところで子どもには「やたら自分でイスに座りたがる時期」というのがあるらしく、息子の場合は二歳になりたての頃だった。この頃、いくつかの園を見学に行ったのだが、先生が教室の引き戸を開けた途端、大人を押しのけて園児用のイスへ(ヨチヨチ歩きで)突進する息子。その背中をア然と見送る母。

 教室に並んだ小さなイスに、片っ端から腰を下ろしてご満悦。どの園へ行っても同じことをするので「……変な子だなあ」と思っていたら、なんとNHKの教育番組にイスを擬人化したキャラクターまでいることを知って仰天した。
 子どもはイスが好きらしい。自分サイズのイスを見つけると座らずにはいられない。キッズコーナーにある小さな木のイス、休憩スペースに置かれた動物の形のビニールのイス。「自分のために用意されたもの」だと思うんだろうか。「自分ひとりで座れる」のが嬉しいんだろうか。座れそうな段差があると、イスに限らずちょこんと座っていた記憶がある。
 子どもが初めて座る(乗る?)イスといえばチャイルドシート。体を固定されるためか嫌がる赤ちゃんも多いらしいが、息子も初めて乗ったときは一時間に渡り大号泣、同乗の大人たちはグッタリ(涙)。

 今後もコレでは困る。私たちは徹底的なオダテ作戦に出た。「うわあ、○○くん専用のイスだよ。カッコいいなー」「○○くんだけ専用のイスだね。すごーい」。地道な声かけが功を奏し、おそらく慣れもあって、そのうち嫌がらなくなった。「これ、ぼく専用のイスだよ」と息子はいまだに自慢げに言う。おとなしく乗ってくれれば親は万々歳である。
 ちなみに体を締める「ベルト」を嫌がる子も多いが、我が家はこの絵本が大変役に立った。飛行機に乗る話なのだが「ベルトをしめてとびたつぞ」という台詞が息子の大のお気に入りで、ベルトを締めるたびに母子でマネして大喜び。いや助かった……。

 子どもの目から見れば、世界は自分にとって決して優しくはない。見るものすべてが自分には大きすぎて高すぎて、難しくて複雑すぎる。
 そんな世界にあって、自分サイズの小さなイスは、いつも自分を待っていてくれる、友だちのような存在なのかもしれない。だからあんなに座りたがったんだろうか。素通りしようとすると泣き叫ぶほどに。
 赤ちゃん時代に愛用したバンボは、今はもう座れない。最近は街の小さなイスたちを素通りすることも増えた。代わりにお気に入りなのが家具店のソファ。片っ端からよじのぼって座り、いっちょ前な顔して「うん、これがいいね!」……買いません。

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