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2014年2月4日火曜日

よくわかる

 園のお迎えに、ママと一緒に来ていた下の子ちゃん。園庭でちょこちょこ遊んでいるのを、他のママたちも微笑ましげに眺めている。と、園庭のくぼみにつまずいてドデン! とすっ転んだ。
 咄嗟に「わっ、大丈夫!?」という言葉が喉まで出かかるも、慌てて引っ込める周囲のママたち。なぜなら肝心の、下の子ちゃんのママさんが平然としていたから。案の定、彼女は泣くことなく一人でムクッと起き上がった。「よし」とつぶやくママさん。

 面白いもので母親というのは、我が子が転んだ瞬間、どの程度の転倒かを一瞬で判断する。どこをどう打ったのか、強度は、打ち身や擦り傷はないか。転んだのが土の上で、最初に手が出ていれば、概ね「たいしたことはない」と判断できる。
 子どもというのはしょっちゅう転ぶ。転ぶたびに「大丈夫? ケガは?」とハラハラドキドキしていては、はっきり言って身が持たない。上記のような判断術を、そのうち経験則で身に付けてしまう。
 「大丈夫!? ってやるとさ、却ってワーッて泣いたりするじゃん。平気そうなら放っておいたほうがいいよね」。うん、よくわかる。よくわかるよ、と頷き合うママたち。

 息子は寒い季節に生まれた。冷たい雨の降る日だった。出産の思い出を聞かれたら、私はとにかく「寒かった」のひと言しかない。暖房はよく効いていたけど、古い産院のリノリウムの床は、しんしんと底冷えがした。おまけに私のベッドは窓際で、窓から見えるのは暗い空、冷気も入り込んでくる。
 助産師さんたちは皆あたたかかったけど、とにかくあの寒さには閉口した。同じ日に同じ産院で生まれた男の子には、すでに「冬」という字を使った名前が付いていた。ウチの息子の名前にも、季節を表す漢字が入っている。猛暑だった真夏に出産した友人は、子どもの名前に「夏」という字を入れていた。
 うん、よくわかる。よくわかるよ(しみじみ)。次に産むときは極端な気候じゃない時期にしたいなあ……そう上手くはいかんだろうなあ……。

 相方は小学生の頃、近所の空き地で転んで頭を強打した。流れ落ちる血で顔面を真っ赤にして「おかあさぁん……」と帰宅した相方を見て、さすがに義母は血相を変え、すぐに病院へ連れて行ったという。
 何針か縫ったものの、幸い怪我は軽かった。それでもショックと痛みで不安だった相方の目に入ってきたのは、医師と談笑する義母の姿だった。自分はこんなに痛いのに、母親は平気で笑っている……。
 「今ならさ、子どもに心配かけないようにしたんだろうな、とか思うよ。でも当時はねえ。辛かったねえ……」。まあ義母もホッとしたんでしょう、きっと。心配したぶん安心も大きくて、声も明るくなったと。うん、わかるよ。私もやりそうで怖い……。

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