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2014年2月28日金曜日

大きくなったら

 「子どもの頃、大きくなったら何になりたかったですか?」
 そんな質問を受けたのは久しぶりで、少しドギマギする。ただし考える時間はあまりなく、しかも大勢の子どもたちの前で、とっさに口から出たのはこんな答えだった。「英語の先生になりたかったけど、大学で遊びすぎて挫折しました(笑)」。

 この回答、嘘は一切ついていないが、総合すると嘘である。子どもの頃、通っていた英語教室の若い女の先生に憧れて、自分もなりたいと思っていたのは本当だ。大学で教職を断念したのも本当である。
 ただし「英語の先生」は、幼い女の子がケーキ屋さんに憧れるようなもので、大学のときは既に頭になかった。そもそも英文科じゃないし。
 というわけで、とっさに出た嘘をついてしまったが、でも嘘は言ってないし(ややこしい)、軽く笑いも取れたしで、何とか場を切り抜けてホッとした私である。後での息子からの「ママ、えいごのせんせいになりたかったの?」攻撃には閉口したけど。

 四歳になった息子の将来の夢は、ドクターイエローの運転士。大勢の前で絵まで描いて発表して、堂々たる公の夢(?)になった。
 ドクターイエロー。この「乗り物」の一般的な知名度はどのくらいなんだろう。ちなみに私は、息子の絵本で初めてその姿を見るまで全く知らなかった。正式には新幹線電気軌道総合試験車、というらしい。
 線路のゆがみや架線の状態を計測する、特殊な新幹線。「ドクター」の愛称はそのためだ。見慣れた新幹線の、ただ色だけが黄色い姿は、結構インパクトがある。本数が少なく滅多に見られないことから「幸せの黄色い新幹線」として人気があるという。
 試験用だから一般客が乗ることはできない。でも走行するからには運転士はいるだろう。通常の新幹線と同じ? いずれにせよ、要はJRまたは関連会社の社員、ということになるのだろうけど。四歳児の微笑ましい夢から、そんな生々しい現実に思いを馳せる自分もどうかと思うけど(笑)。

 男の子の夢として、乗り物の運転士は永遠の定番だ。大きなものを自分の力でコントロールする感覚に憧れるんだろうか。それともスピード? 男の子だったことのない私には、どうもピンとこない。
 滅多に見られない幸運のシンボル。しかし今の時代、その気になればダイヤを調べるのは難しくないらしい。情報交換の掲示板やツイッターもあるし、本気で狙えば高確率で見られるそうな。そうしようとは思わないけれど。
 子どもの夢は、抽象であり象徴でもあるような気がする。滅多に出会えない幸運を、自分の力で運ぶ人。なかなか素敵な夢じゃないかと、黄色いクレヨンで塗りたくられた絵を眺めながら思う。

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