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2014年6月19日木曜日

いつもと違う日

 雨の詞を書いたことがある。可愛らしい傘を手に、子どもたちが踊る。雨の日は、お外へ出ようよ。いつもと違う景色、ワクワクするね。そんな詞だ。
 この頃は、まだ子どもがいなかった。母となった今、息子や他の子たちの様子を見ていると、やはり子どもは雨が好きなのだなあ、と感じる。

 ところで、雨が好きな大人は多くはない、と思う。「雨を眺めるのが好き(自分は濡れない場所で)」な人はいても、少なくとも「どしゃぶりの中、全身びしょ濡れで幼稚園児を送迎する」ことが「好き」な人は、たぶんいない。いたら代わって(涙)。
 まったく、こんなことにも人間は慣れるらしい。雨の中、濡れっぱなしで(子は雨カッパ)自転車を漕いでいると、道行く人からの「大変ねえ」という同情に満ちた視線を時折いただく。が、当の本人は「もうカッパとか面倒だし、濡れたら着替えればいいし」という境地にいるので、お気遣いは不要である。まあ目障りかもしれませんが。

 大人にとっては退屈な日常の延長でしかない雨が、まだ四年しか生きていない息子には、心躍る非日常になる。長靴に傘に雨カッパ。どれも、雨の日だけの特別な装いだ。「きょう、カッパ着る?」「傘さす?」そう尋ねる息子の顔が、期待に輝いている。
 雨足が強い日は、さすがに自転車を諦めて、傘を並べて家を出る。自分の傘を傘立てから取り出すところから、自分でやらなければ気が済まない。玄関を出て、得意気に傘を開く。少し力が要るので、時々手間取る。手伝おうとすると烈火の如く怒る。

 傘をさしたら、いざ雨の中へ。傘に当たる雨の音。視界は狭いし、両手で傘を持つからママと手もつなげなくて、本当は少し怖い。ドキドキしながら歩く。
 ほら、水たまり! 長靴でピシャッとしたいな、とママをちらり。ママは「しょうがないなあ」っていう顔で見てる。ピシャピシャ。楽しい!
 あ、アジサイ! ぼくは青いのが好き。ママはピンク? ぼく幼稚園でアジサイの絵を描いたよ。花の色はピンクにしたの。ママが好きなピンクだよ!

 「♪おーたまじゃくし、足が出て手が出て……」大声で歌いながら歩く息子の脇を、駅へと急ぐ人たちが追い越してゆく。彼らに混じる、小さな傘。「あ!」。おともだちを見つけた息子が叫ぶ。
 息子より体の大きな彼は、大きな傘を片手でヒョイ。その向こうには顔なじみの女の子。傘は持っているのに、むしろ濡れるのが楽しくて雨に身をさらす彼女を、ママがハラハラ見守っている。
 誰かが捕まえたおたまじゃくしはカエルになって逃げちゃったけど、まだまだ雨の日は続く。入園前に買った傘も去年買った長靴も、もう小さいみたい。新しい雨具を買わなくちゃね。君も、ママも。

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