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2014年7月5日土曜日

共感のベクトル

 機械式の自転車置き場で難儀していると、大学生くらいの若い男の子がサッと近寄ってきて手伝ってくれた。「すいません」という私に、伏し目がちの会釈だけを爽やかに残して去ってゆく彼。
 感じのいい子だなあ、モテるだろうなあ。そんな思いに続いて咄嗟に脳裏に浮かんだのは、「ウチの子も、あんなふうになるといいなあ……」。

 ああ、私も「お母ちゃん」になったのだと、しみじみ思った瞬間だった。若い素敵な男性を見ても、「キャー!! お近づきになりたい♪」とかじゃないのね。オンナよりも母なのね。まあ、そうじゃないとね。いやあ、健全で良かったよ(笑)。
 前回のロンドンオリンピックで体操競技の内村くんを見て、その成長ぶりに私は腰を抜かさんばかりに驚いた。競技のことではない。そんなことは語れない。彼のインタビュー時の態度、そして何より、お母さまへの態度のことである。
 北京のときは、どこか幼さが残っていたように思う。まだ十代だったから当然ではあるのだが、主食はチョコレートだと言ってみたり、あの少々賑やかな(笑)お母さまに対しても、照れ隠しかぶっきらぼうな態度が目立っていた。息子への愛を全身で熱烈アピールする(?)お母さまとは対照的だった。

 それが、ロンドンでは一変していたのだ。大人びたのは見た目だけではなかった。ありきたりの質問にも丁寧にそつなく答える。相変わらず応援席で熱心に声援を送るお母さまへの感想を聞かれて、はにかみながら「嬉しいです」と感謝の言葉を口にする。
 ……せ、成長したねえ(しみじみ)。お母さまはさぞかし嬉しかったに違いない。カメラの前でお礼まで言われて。よかったですねえ、うんうん、と、お母さまに勝手に共感しまくる私。
 このときも思ったものだった。ああ、私も二十代の男性の、お母さまに共感するようになったのかと。何というか、やっぱり複雑である。年齢というよりは、息子を持ったせいだと思うけど。

 時折、芸能人の年の差婚が話題になる。例えばアラフォーの女性と二十代の男性。以前なら「そんなに年下の人と恋愛なんてスゴーイ」と、どちらかというと女性の側に感情移入していたが、今は違う。
 男性のお母さまは、一体どう思われているのだろう。もし息子が将来、二十近くも年上の女性を連れてきたら。もちろん、大事なのは本人の幸せだ。そんなことは分かってる。けど、それは建前だ。
 ああ想像したくない(←気が早すぎ)。若い役者さんやミュージシャンを見て「キャーすてき♪」と思っても、件の「母親行き」共感ベクトルが感情の邪魔をする最近の私である。ああ、大ファンの有名人との結婚を純粋に夢見ていた頃が懐かしい。特に戻りたくはないけど。

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