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2014年7月11日金曜日

君に届く声の主

 以前「はざまの世界で」という話を書いたが、幼い子どもは現実とファンタジーの境界を生きている。というか、ファンタジーを現実世界にだだ漏らして生きている、というほうが近いかもしれない。
 先日、園から帰宅した息子が開口一番に口にした台詞はこれだった。「あのね、ぼく今日、夢でね、妖怪ウォッチのメダルが届くんだよ!!」

 ……そ、そうか。妖怪ウォッチ人気だもんね、という話ではなくて(すいません)、いや一体、世のお母さま方はこんなとき、どう反応するのだろう。
 でもまあ「夢で」届くのだから、現実の住人である親が関与する余地は特にない。「そうか、楽しみだねえ」とでも言っておけばいいのである。
 ちなみに数時間後には、「夢でトッキュージャーのお菓子が届く」に変わっていた。理由は不明である。たぶん、お腹が空いたんだと思う。

 これが実際に「妖怪ウォッチのメダル」や「トッキュージャーのお菓子」を要求されたら厄介だが、いや近い将来そうなるのは目に見えているが(涙)、少なくとも我が家の四歳児の場合、特にそういうわけではないところが興味深い。
 子どもにとって「夢」は、ほとんど現実と見紛うほど重要な世界だ。夢は楽しい。欲しいものは手に入り、パパもママも好きなだけ一緒に遊んでくれる。
 現実のパパやママは怒ることもあるし、大好きなお菓子もなかなか買ってもらえない。でも、夢ならそんなことはない。今夜も夢を楽しみに、眠りにつく息子。本当にそんな「夢」を、睡眠中に見ているかは分からないけど。

 家じゅう散らかし放題にして遊んだ日の夜、「お片付けしなさい」と言うと泣き出した。「できない」というのである。母親業も慣れてくると、ここでブチキレて「とっととやれー!!」と叫んでも良い結果は生まない、ということが、さすがに分かってくる。
 私は、息子が最近お気に入りの犬のぬいぐるみを、部屋が見渡せる位置に置いた。「ほらワンちゃんが『○○くん、お片付け頑張れ』って応援してるよ」。もう四歳半だし、こんな手は効かないかも。不安げな母の前で、しぶしぶ片付けを始める息子。
 しばらくすると息子は、片付けながらニコニコ顔で言い始めた。「ワンちゃんが『がんばれ』って言ったよ!」「あ、また言ったよ!」。母には聞こえない声に励まされ、ついに片付けが終了。「一人でできたね、すごーい」と(ここぞとばかり)褒められて、達成感に誇らしげな息子。
 近い将来ほぼ確実に、その声は聞こえなくなる。それでも人は何らかの形で、自分を鼓舞していかねばならない。ファンタジーに助けられて生きているのだなあ、と思ったりする。子どもも、大人も。

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