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2015年1月13日火曜日

一畳の基地から

 年末の区役所にて。子連れのせいか、窓口の男性が気さくに話しかけてくれる。「引っ越し、いいですねえ。私の家なんか築25年で、あちこちガタがきて……」「……あの、今度の家、築30年ですけど」。

 「えっ、そうなんですか。あ、ねえボク、今度のおうち楽しい?」……子どもに逃げたな(笑)。
 余談だが、私の実家は築20年も経たないうちに床が抜けたが、同じ木造家屋でも相方の実家は築40年近いのにピンピンしている。いろんな要因があるのだろうが、必死で建てた親の気持ちを思うと切ない。

 以前、仕事で訪れた某県の県庁は、田園風景に突如、そびえ立つ高層ビルだった。空中庭園まであるそうで、周囲とのギャップに呆然とした記憶がある。
 まあツインタワーの都庁も人のことは言えないが、区レベルになると実は結構バラツキがある。地図を手に新住所の区役所へ行き、実にボロ……庶民的な外観を見た途端、何だかホッとした私である。
 いや、外観で何が分かるわけでもないけれど。ただ、これから交流が始まる人が、いきなり全身ピカピカで威圧してくるより、庶民的で親しみやすい方がいい。まあ、その程度のことなんだけど。
 しかし年季の入った庁舎へ足を踏み入れれば、すかさず御用聞きの職員が寄ってくる。転入届を、と言うと「ありがとうございます」。ちょっとビックリ。区によって結構、カラーが違うものらしい。

 いくら「転居に伴う運転免許証の住所書き換え」という歴とした理由があろうとも、警察署へ行くというのは緊張するものだ。入り口近くでキョロキョロしていると早速、署員らしき男性に「何でしょうか」とギロリと睨まれてビビる(←被害妄想)。
 カウンターで手続き後、待合スペースに息子と腰を下ろす。しばらくして、係員の男性が書き換えの終わった免許証を席まで持ってきてくれた。「はい、どうぞ。そして、君にはコレをあげよう」。
 息子に差し出されたのは、パトカーや警官が描かれた反射シール。突然のプレゼントに息子は大喜び。そういえば以前、駅で人を待っていたら、男性職員が突然近づいてきて新幹線の写真入りカードをくれたことがあった。工事現場の警備員に、いきなり蝉を渡されたこともある。男の人は、男の子が好きらしい。息子はよほど嬉しかったのか「きみにはこれをあげよう、きみには……」と何度も真似していた。

 引っ越してはきたものの、何も揃わず片付かず、生活は乱れたままだ。毎日目まぐるしく子の世話をして仕事して、一体いつ家を整えればいいのか。
 一畳分のスペースに座卓とパソコンを置いて、ようやく人心地つく。急ごしらえの、恐ろしく狭い私の「基地」は、さっそく息子の格好の隠れ場になる。幼子の無邪気さに、励まされて今日も生きている。

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