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2015年6月11日木曜日

SING!!

 図書館で息子が見つけてきた『セサミストリート』のCD。おそらく番組で使われた英語の歌が入っているのだろう、と深く考えずにいた私は、スピーカーから流れてきた歌を聴いて腰を抜かした。
 え、日本語!? ……そういえば何年か前に、日本語版が放映されていたような。当時は子どももいなかったので、残念ながら観た記憶はないけど。

 日本語にも驚いたが、もっと驚いたのは彼らの「声」だった。当然、日本の声優さんが歌っているのだが、あのエルモが、クッキーモンスターが、まんま日本語で歌っているとしか思えないのだ。……いやもう何というか、プロって凄い。
 英語版では、たとえ言葉が分からずとも(クッキーを貪り食う)行動だけで十分に変で楽しいクッキーモンスターが、日本語で「クッキー、たぁべた〜い!!」と絶叫するわけで、息子はもう大喜びである。
 収録曲は日本独自の楽曲が中心だが、中にはおなじみの歌もある。セサミの挿入歌として有名な『SING』も、ここでは日本語だ。原曲はカーペンターズ。かつてNHK『みんなのうた』でも流れていたそうだから、懐かしい方もいらっしゃるだろう。

 シング、歌おう、幸せが来るように。そんな歌詞を聴きながら、出産直後、睡眠不足で朦朧としながら歌っていた頃を思い出す。辛いときは、歌うに限る。誰に聴かせるわけでもなく、ただ自分のために。
 大きな声を出し、恥ずかしがらず、と歌は続く。同じ言葉を最近聞いたなあ、と記憶を辿る。園の有志のママさんコーラス。「ぜひご一緒に。恥ずかしいことはないですよ」という発起人の呼びかけに、準備した椅子が全く足りないほどの人数が集まった。
 試しに全員で歌ったら、先生も驚くほどの声量。「恥ずかしがる」なんて空気は微塵もない。今どきのママさんはカラオケで慣れてるし、コーラスの経験者も結構いる。恥ずかしい人は最初から来ないし。
 歌うときの姿勢、息つぎ、鼻濁音。先生が基本をレクチャーしていく。自分の声が、空気を震わせて響く。懐かしい感覚が嬉しくて、自然と声が伸びる。

 子どもは歌が好きだ。息子も耳コピで意味不明な日本語を歌っていた時代もあったが、今では歌詞もメロディもかなり忠実に再現する。符割りの複雑な最近のJポップもけっこう上手に歌う。家で私が作っていた歌を、その日のうちに歌い出すこともある。
 プロの音楽家による親子コンサート。一緒に歌う場面なのに、息子は蚊の鳴くような声だ。家ではガンガン歌うのに、外へ出ると萎縮してしまう。
 そんな息子を励ますように、私は声を張り上げる。歌おう、幸せが来るように。辛いことを忘れるため、そんな理由で歌う日が、君にもきっといつか来る。大丈夫、ママがついてる。おともだちもいる。一緒に歌おうよ。恥ずかしがらず、大きな声で。

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