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2016年4月21日木曜日

新入生と新米母

 四月一日。前月に幼稚園を卒園したばかりの我が家の六歳児は、満開の桜の中、小学校へ初登校した。息子と二人、緊張の面持ちで校門をくぐる。
 入学式は、まだ先だ。学校は春休み中。息子の頭には黄色い安全帽ではなく私物のキャップ、背中に揺れるのは学用ランドセルではなく、使い古したリュックサック。そう、いわゆる学童保育である。

 正面玄関の前には、学童担当の先生と、世話役らしき上級生がスタンバイしていた。この日が楽しみすぎて数日前から大騒ぎだった息子は、上級生に手を引かれ、振り向きもせず校舎へと消えていく。
 「お母さまも一緒にいかがですか? お部屋の確認だけでも」。先生の言葉を丁寧に断って、私も学校を後にする。説明会や登録時に何度か足を運んだから、私も息子も部屋は見知っている。
 好奇心旺盛で、預けられ慣れているせいか妙に適応力のある息子は、緊張しつつも楽しい一日を過ごすだろう。何も心配ない。安心して仕事へ向かう私。

 おばあちゃんに手を引かれた子、赤ちゃんを背負ったママと一緒の子。帰宅時間も早い子から遅い子まで様々だ。いろんな家庭、いろんな事情。その多彩さは「似た者が集まる」傾向の強い幼稚園の比ではない、そんな話を、先輩ママから何度か聞いた。
 幼稚園の三年間を無事終えて、子育てやママ友付き合いにも多少は慣れた気でいたけど、小学校への適応が必要なのは息子よりむしろ母たる私のほうかも。後ろ髪を引かれながら、そんな予感に怯える私。

 一人っ子を育てる私は、いつまでたっても新米母で、幼稚園へ入る時も小学校へ上がる時も、いつも不安でいっぱいだ。もの馴れた様子で余裕のある「何人目かのママさん」が、眩しくて仕方がない。
 何年経とうと私は決して、ああはなれないのだ。それは仕方がない。「新一年生の保護者です。学童のお迎えに来ました」。インタフォンで告げるとオートロックが開く。こんなことでもドキドキする。
 「とってもいい子でしたよ、先生の話もよく聞いて……」。学童の部屋の入り口で、先生の言葉を聞きながら息子を待つ。大人ウケ抜群の外ヅラの良さを、相変わらず発揮する息子。いやマジで少し分けてくれ、その世渡り上手(切実)。

 ワクワクの入学式を終えた翌日は、どしゃ降りの大雨。集団下校と知りながらも「息子を信じて家で待つ」チキンレースに負けて家を出たところで、引率の方と数人のお友だちと一緒に息子が現れた。
 「ちゃんと待っててよ〜」と不満顔の息子と共にお友だちを見送ると、その後から「こんにちは」と一人の女性が現れた。聞けばお友だちの一人のお母さんだという。「心配で、ずっと後をついて歩いてるんです」。わかります。雨の中お疲れさまです。私もいろいろ頑張ります……。

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