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2016年6月27日月曜日

“お母さん”になった日

 どうやら、誰かに言われたらしい。パパか祖父母か友人か、たぶんそのへんに。
 「『ママ』は幼稚園とか小さい子が使う言葉だよ。小学生になったら『お母さん』って呼ぶんだよ」。

 ああっという間に、驚くほどキッパリと。息子の私の呼び名は「おかあさん」に変わった。
 言い間違いも、言い淀みもない。迷わず真っすぐ「ねえ、おかあさん」。むしろ私のほうが、未だに自分を指して「ママがさぁ〜」と言ってしまう始末。
 そ、そうか。「ママ」は、もう終わりか。「ママ」と呼んでもらえる期間は、意外と短いものなのね。入学して二ヶ月ちょっと。とっとと成長する息子に、面食らう母。

 「ママ」というのは日本の一般的な感覚で言えば幼児語で、そのベッタリ甘いニュアンスに違和感を抱く人もいる。私も独身の頃や出産前は「『ママ』ってガラじゃないしなぁ……」なんて思っていた。
 しかし出産して怒濤の育児が始まれば、そんな思惑はどこへやら。「ママ」「パパ」という単語は短いので親も子も使いやすく、早い話がラクだし便利なのだ。泣く子とラクと便利さには勝てない。
 「ママ、わらってる?」と、あどけない声で尋ねられた日々も、今は昔。もう私は「ママ」ではないのだ。寂しい。本音はすごく寂しい。何もそんな急に変わらなくても……ぶつぶつ(←往生際が悪い)。

 小学生の母となった「おかあさん」は結構大変で、毎日、学校からの各種プリントに目を通し、これは○日までに記入して提出これは名前を書いて×日までにと、煩雑な仕分け(!)が日々押し寄せる。
 小学生の親御さんは皆、苦もなくこなしているはずなのに(しかも兄弟の人数分)、慣れないボンヤリ系新米母の私は未だに「ぎゃあ、○○忘れたあ!!」と叫んでは、息子に不安がられている。
 「おかあさん、マルつけしてー」。息子がプリントをヒラヒラさせてやってくる。学校の指示により、一部の宿題の採点も親の役目だ。子どもの宿題遂行に親を巻き込もうという、学校の強い意志を感じる。

 息子が卒園した幼稚園で同窓会があった。教室から流れるピアノの音に「ああ、幼稚園だなあ」としみじみする。懐かしい友だちに久しぶりに会った息子は、閉園時間を過ぎてもなかなか帰ろうとしない。
 ある朝、「頭が痛い」と学校を休んだ息子。しかし微熱はすぐ下がり、昼食を食べたら妙に元気になって、家中に好きなオモチャを広げて上機嫌……。
 「疲れが出たんだね」と周りに言われて、複雑な気分になる。幼稚園の頃は、毎日そうやって遊んでたのにね。小さな身体で彼なりに、急な変化を必死で受け止めていたのかも。ママも頑張らないとね。早く「おかあさん」になれるように。

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